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不眠症・睡眠障害の治療

不眠症・睡眠障害とは

 睡眠障害にはさまざまなものがありますが、最も多くみられるのは不眠症です。ここでは主に不眠症の治療について説明します。

 夜間に十分な睡眠がとれない、そのため日中に疲労感が強い、
などの状態が続く場合に不眠症と診断し、治療が行われます。

 不眠症はさまざまな原因によって起こります。したがって不眠症の治療にあたっては、まずは原因を検討することが重要です。また治療としては、生活指導、薬物療法などがあります。

 なお睡眠障害には、不眠症の他に、日中の過剰な眠気を認める過眠症、睡眠と覚醒のリズムのずれによって生じる概日リズム睡眠障害などがあります。

不眠症の症状

 一口に眠れないと言ってもさまざまなパターンがあり、それを把握することが、原因や治療を検討するために重要です。

 まず、布団に入ってから眠りにつくまでに時間がかかるのが入眠障害です。眠りについても夜中に何度も目が覚めるのが中途覚醒です。朝予定より早い時間に目が覚めてしまうのが早朝覚醒です。また、十分な時間眠っているはずなのによく眠ったという実感がないのが熟眠障害です。

 さらに、日中の疲労感や注意・集中力の低下がどの程度あるかも重要です。

不眠症の原因

 不眠症はさまざまな原因でおきてくるため、まずは原因の検討が重要です。

1)心の病気にともなう不眠症

 うつ病、適応障害、不安障害、統合失調症などで不眠がおきてきます。特にうつ病の場合は、入眠障害よりも、中途覚醒や早朝覚醒が目立つのが特徴です。

2)身体の病気にともなう不眠症

 身体の病気による疼痛、掻痒感、発熱、頻尿などのために不眠がおきる場合があります。また睡眠時無呼吸症候群と言って、睡眠中に呼吸がうまくできないために睡眠が障害される場合があります。

3)薬剤・嗜好品による不眠症

 ステロイドなどの薬剤で不眠がおきる場合があります。また、アルコール、カフェイン、ニコチンも
不眠の原因になります。特にアルコールは、寝付きをよくする目的で用いる方がいますが、深い眠りをさまたげるために熟眠感が得られない結果になります。

4)原発性不眠症

 上に記したような原因がみあたらず、適切な時間帯に睡眠をとれる環境にいるにもかかわらず、夜間に十分な睡眠がとれず、日中の生活に支障をきたす状態を、原発性不眠症と言います。多いのは、寝つけないで苦しい思いを経験したことから、「今晩寝つけるかどうか」と心配になり、そのためにさらに寝つけなくなるというように、不眠を恐れる気持ちから入眠障害が慢性化している状態です。

不眠症の治療

 不眠症の治療としては、まずは原因を検討し、原因があればそれに対する治療を行います。たとえば不眠症のおおもとに、うつ病などの心の病気があるようならば、その治療を行います。また、睡眠を改善するような生活習慣や環境についての指導を行います。さらに、不眠がなかなか改善しない場合は、睡眠薬などを使用することも役に立ちます。いずれにせよ、不眠症の治療では、決まった時間眠ることにこだわるよりも、ある程度眠れて日常生活を支障なく送れるようになることが重要です。

1)よりよい睡眠のための工夫

  1. 自分にあった一定の就床時間、起床時間を続けていきましょう。
  2. 目が覚めたらなるべく日の光を浴びるようにしましょう。
  3. 昼寝は午後3時より前に、時間は30分以内にするようにしましょう。
  4. 遅い時間の昼寝はやめましょう。
  5. 日中から夕方までの間に運動することは睡眠に役立ちます。
  6. 夕食よりも後にカフェインを含む飲み物をとるのはやめましょう。また「寝酒」は深い睡眠を妨げます。
  7. 眠る前にリラックスしてすごせるように工夫しましょう。

2)薬物療法

 不眠症の治療に用いられる薬剤にはさまざまなものがあります。睡眠薬とよばれる薬だけでも、作用時間によって、超短時間作用型、短時間作用型、中時間作用型、長時間作用型などの種類があります。最近では、朝に眠気が残らない、依存がおこりにくい薬が増えてきました。また、睡眠薬以外に、抗うつ薬などが不眠を改善する場合もあります。実際に薬を使用するにあたっては、その方の不眠の原因、不眠の
症状、年齢、身体状態などを考えあわせて、もっとも適した薬を使用するようにしています。

執筆・監修:院長 高野佳也

 

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