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適応障害・ストレス関連障害の治療

適応障害・ストレス関連障害とは

 ストレス要因によってひきおこされる精神障害を、ストレス関連障害と言います。その中でもっとも多くみられるのは適応障害です。ここでは主として適応障害について説明します。適応障害とは、多くは日常で起こるストレス要因に対する心理的反応で、情緒面あるいは行動面に症状が出現し、社会的機能の障害をきたすものです。

 なお症状や経過から、うつ病などの他の精神障害の診断基準を満たす場合は、適応障害の診断は適用されません。

 その他のストレス関連障害としては、心的外傷後ストレス障害があります。これは、天災や事故、恐ろしい犯罪の犠牲など、極度のストレスの影響で、フラッシュバック、外傷を想起させるものの回避、覚醒亢進症状などの特徴的な症状がみられるものを言います。

適応障害の症状

 適応障害はいくつかの病型に分類されます。たとえば、抑うつ気分、不安を主症状とするものや、
喧嘩、無謀運転などのさまざまな行為の障害を呈するものがあります。また身体的愁訴、ひきこもりなどがみられることもあります。適応障害では、ストレス要因が生じてから3か月以内に症状が出現し、ストレス要因が消失するか、ストレス要因によって引き起こされた結果が終結すれば、6か月以内に症状は改善するとされています。しかしストレス要因やそれによる結果が持続している場合には、適応障害も持続することがあります。

適応障害の治療

 治療は、以前の機能水準への回復、または新たな適応に達することをめざしていきます。そのために、ストレス要因あるいはそれによって引き起こされた結果を軽減したり、本人のストレス対処能力を高めたりする方法を考えていきます。実際には、精神療法、環境調整、薬物療法などをあわせて行っていきます。

1.精神療法

 治療で重要なのは、まずストレス要因を明らかにしていくことです。またストレス要因が複数の場合には、どれが最も適応障害の発症に影響を与えているかを検討することです。そういったことをふまえて、ストレス要因に対する対処を考えてゆきます。

治療の中で、今後の見通しやストレス要因に対して取り得る対処法について話し合います。そして、本人が、ストレス要因にうちのめされた状態から、少しずつ回復できるように援助していきます。また、ストレス要因から離れて休養をとり、心身の余裕を取り戻すことにより、適切な対処法がとれるようになる場合もあります。

2.薬物療法

 上記のような治療に加え、薬を使用することが有効な場合があります。不安、うつ、不眠などの苦痛な症状に対して、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入剤などを使用して、症状が改善することにより、本人が
安心感を経験し、ストレス要因に対処する力が得られることがあります。この場合、薬は、ストレス要因に対処してゆくための手助けと考えることができます。

執筆・監修:院長 高野佳也

 

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