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パニック障害の治療

パニック障害とは

 強い恐怖とともに動悸などの身体症状が突然に生じる発作をパニック発作と言います。そして、このようなパニック発作が繰り返し起こり、もっと発作が起こるのではないかとの心配が持続し、発作の結果大変なことになるのではという心配に苦しみ、日常生活に支障をきたすようになる障害をパニック障害と言います。この障害の発症には、さまざまな要因が関与しており、特に、脳の中の神経伝達物質のアンバランスが生じやすい状態が関与していると考えられています。

パニック障害の症状

 パニック発作では、強い恐怖とともに、以下のような症状が出現します。
 すなわち、動悸、発汗、体の震え、息苦しさ、窒息感、胸痛、嘔気、めまい、現実感の消失、発狂の
恐怖、死の恐怖、感覚の麻痺、冷感または熱感、などです。

 パニック障害では、このような発作をくりかえすうちに、発作の後に、以下のような症状が持続するようになります。

 すなわち、もっと発作が起こるのではないかという心配(予期不安)、発作の結果コントロールを
失ったり気が狂ったりするのではないかという心配、などです。

 そして、発作についての心配が強くなるために、電車やバスなどの乗り物、映画館や劇場などの特定の場所を、避けるようになります。その結果、生活や活動の範囲が狭くなっていくことがあります。

パニック障害の治療

 パニック障害の治療では、まずはパニック発作が起こらない状態を維持することが目標となりますので、薬物療法によりパニック発作をコントロールしながら、あわせて、本人の苦痛や不安に対して精神療法を行ってゆくという治療がおこなわれます。

1.薬物療法

 パニック障害で、よく使用される薬としては、SSRI(セロトニンという神経伝達物質に作用する薬)があります。これは、うつ病でも使用される薬ですが、パニック発作を予防する効果があります。毎日服用を続けることによって、パニック発作が起こらなくなってゆきます。

 SSRIは、効果が出るまでに2週間以上かかる場合があります。そこで、SSRIの効果が出るまでの間、
抗不安薬を併用することがあります。抗不安薬は、服用して短時間で不安や緊張をやわらげる効果が
得られます。そのため、パニック発作が起こりそうな時に、抗不安薬を頓服薬として服用することで発作を予防するなどの形で使用します。

 以上のような薬物療法を継続することにより、パニック発作が起こらなくなる、または、起こりそうになっても薬で対処できるようになると、またパニック発作が起こるのではないかという予期不安も軽くなります。その結果、予期不安のために生活や活動を制限していたものが、次第に生活や活動の範囲を拡げることができるようになってゆきます。

2.精神療法

 精神療法は、まず、本人の苦痛と不安を受けとめるところから始めます。パニック障害では、症状があっても原因がわからないなどの経験から、「何が起きているのか」「なぜこんなふうになるのか」などの思いに苦しむことが多いです。まずは本人の苦痛を受けとめ、「パニック障害」という状態であること、治療により改善することを説明します。

 その上で、またパニック発作が起こるのではないかという予期不安を軽減することをめざします。そのために、パニック発作を予防するための工夫、発作が起こりそうになった時の対処法などについて話し合います。さらに、症状が改善して、活動範囲の幅が拡がる時も、不安が強まりやすい時です。本人の状態にあわせて、無理のないやり方で活動範囲を拡げてゆけるように援助してゆきます。

執筆・監修:院長 高野佳也

 

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