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うつ病の相談・治療

うつ病とは

 うつ病は、憂うつな気分と活力の低下が主な症状です。それ以外にも、何事にも興味がわかない、喜びを感じられない、集中力が低下する、自信が低下する、悲観的な考えが強くなる、死にたい気持ちが生じる、眠れない、食欲がない、などの症状があります。

 うつ病の発症には、体質的な要因、心理的な要因、環境的な要因がかかわっています。うつ病では、脳の中の神経伝達物質のバランスが不調をきたしていると言われ、そのような不調をきたしやすい体質の関与が考えられています。また、まじめで几帳面な性格傾向、敏感で傷つきやすい性格傾向などが、うつ病の発症に関与している場合があります。さらに、ストレスの多い生活環境、自分にとって大事なものを失う体験などが、関与している場合があります。

うつ病の診断

 うつ病の診断は、主には専門の医師による問診によって行われます。その際には、前述したような症状が、どの程度強く、どの程度続いているかを十分に検討します。また、うつ病の診断については、症状以外にも、心理的な要因、環境的な要因についての検討が重要です。その人が、どういう環境でどういう体験をして今に至っているのかという経過を把握することは、今後の治療にも重要です。

うつ病の治療

1.休養

 うつ病というのは、エネルギーを使い尽くした状態と考えることができます。その状態でもがんばろうとすることで、ますます自分を追いつめる結果になることもあります。その場合、まずは休養し、エネルギーが回復するのを待つことが重要です。働いている方であれば仕事を休む、主婦の方であれば家事の負担を減らすなどが考えられます。その際には、職場や家族の理解と協力は欠かせません。そのために、職場の方や家族と話し合いを持つこともあります。

2.薬物療法

 うつ病では、脳の中の神経伝達物質のバランスが不調をきたしており、そのことが、憂うつな気分、
活力の低下、不眠などの症状と密接な関連があると言われています。したがって、薬を服用し、神経伝達物質のバランスを整えることによって、つらい症状が緩和されたり、回復が促進されたりするわけです。このような作用を持つ薬を、抗うつ薬と言います。抗うつ薬には現在さまざまなものがあり、それぞれに特徴があります。現在よく使われているのは、SSRI(セロトニンという神経伝達物質に作用する薬)、SNRI(セロトニン、ノルアドレナリンという神経伝達物質に作用する薬)などです。これらの薬は、従来の抗うつ薬と比べて副作用が少ないということでよく使われています。ただし、抗うつ薬については、
一概にどの薬がいいと言うよりも、それぞれの薬の特徴を検討した上で、一人一人の病状にあった処方を考えることが重要です。

3.精神療法

 うつ病の精神療法では、柔軟なアプローチが必要です。まずは、診断のところで書いたような、その人がどのような環境でどのような体験をして今に至っているのかという見立てが重要です。その中には、その人のパーソナリティの特徴についての見立ても含まれます。

 うつ病の症状が強い時には、まずはご本人が苦痛な体験をしていることを十分に理解し受け入れることから始めます。またあまりに悲観的な考えにとらわれているような時には、少しずつ現実的な考えを取り戻せるように援助します。

 うつ病から回復する途中の時期も、ご本人にとっては大変な時期です。それまでよりも考えたり何かしたりができるようになってきた分だけ、あらためて自分を責めたり今後についての不安に圧倒されたりすることがありますので、注意深く見守りご本人を支えてゆきます。

 ある程度回復してからも、注意深い見守りが必要です。ご本人が早く以前と同じだけの仕事をしようとあせったり、あるいは周りからそれを期待されていると感じてつらくなったりということがあります。
そのような場合には、ご本人のあせりがやわらぎ、周りの人の理解と協力が得られるように援助してゆきます。

 うつ病で苦しんでいる方の中には、どうしても無理をしてしまったり、対人関係がうまくいかなくなることを繰り返し、そのためにうつ状態がなかなかよくならないという方もいます。その場合、ご本人の
パーソナリティの特徴がうつ状態に関与している可能性があります。そのような方には、精神分析的精神療法で、自分の心のあり方を見つめていくことが役に立つ場合があります。

執筆・監修:院長 高野佳也

 

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